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テセウスの舟
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思考実験目次はこちら



【テセウスの舟】

偉大なる(有名な)舟があったとして、その舟の古くなったパーツを少しずつ新しいものに取り替えていく。そして舟の全てのパーツが取り替えられたとき、これはやはりテセウスの舟だと言えるか。

この話を問う上で、1つ共通認識を持っておかないといけないことは、テセウスって何?テセウスの舟ってどんな舟??ってことです。
Wikipediaによると、テセウスの舟とは以下のものです。

『テセウスがアテネの若者と共に(クレタ島から)帰還した船には30本の櫂があり、アテネの人々はこれをファレロンのデメトリウスの時代にも保存していた。このため、朽ちた木材は徐々に新たな木材に置き換えられていき、論理的な問題から哲学者らにとって恰好の議論の的となった。すなわち、ある者はその船はもはや同じものとは言えないとし、別の者はまだ同じものだと主張したのである。』

テセウスの舟の思考実験では、櫂だけではなく舟の全てのパーツを取り替えた場合を想定しています。
それでもなお、この舟は偉大なる「テセウスの舟」と言えるのでしょうか。私なりに同一性の思考実験を行う際に手がかりとしてきた「コア」の考え方を持ち出して思考していきたいと思います。

同一性における「コア」とは、それがそれそのものである決定的な要因となる部分のことを指すこととします。つまり、あるものについてそれが「コア」を失えば同一性は失われ、それそのものではなくなり、逆に「コア」が残っていればそれそのものであるとしても良いものとします。アイデンティティを司る部分と言っても良いかもしれません。

テセウスの舟について考えるため、まず一般的に同一性問題を3つのパターンに場合分けして考えてみましょう。
パターン1は、それにコアが無いパターンです。
パターン2は、それにコアが有って、それが分割可能なパターンです。
パターン3は、それにコアが有って、それが分割不可能なパターンです。

まず、パターン3について、これは簡単です。
コアの有無で同一性を判断すれば良いのです。
テセウスの舟の場合、全てのパーツを取り替える際にコアも失っているので、同一性は言えないことになります。

パターン2について、これがまた2つに場合分けされると考えられます。
パターン2−Aは、そのコアが「全称的」である場合です。つまり、そのコア全てが揃ってやっとそれそのものの意味をなす場合と説明されます。
パターン2−Bは、そのコアが「存在的」である場合です。つまり、そのコアのうちどこか一部分でも残っていればそれそのものの意味をなす場合と説明されます。
パターン2−Aについては、その分割可能なコアを1つの塊として、分割不可能なコアとしてみることでパターン3に帰着することができます。逆に、パターン3でコアが複数有る場合は、それらが全称的で有る場合には塊で1つのコアとして、やはりパターン3に、それらが存在的で有る場合にはパターン2−Bに帰着させることができます。
テセウスの舟の場合、やはり全てのパーツを失っているのでパターン2に関しては2−Aでも2−Bでも同一性は言えません。

パターン1についてこれもまた2つに場合分けされると考えられます。
まず、それそのものがどこをとっても同一の価値があり、コアと呼べるものがないためパターン1に分類されるパターン。これをパターン1−Aとします。
もうひとつ、パターン1−Bは、それそのものにコアと呼べる部分は無いが、作られた環境や作った人によってそれそのものである決定的な要因が決まるパターンです。
パターン1−Aは、それそのものを大きなコアとして捉えればパターン2やパターン3に帰着して考えることができます。
パターン1−Bは、条件を満たしていてさえ同一性が言える、特殊なパターンです。この場合は、そのものの再生や複製が可能となります。
テセウスの舟の場合、パターン1ーAだとすればパターン2またはパターン3に帰着して考えることで、同一性は言えないこととなります。
パターン1−Bだとすれば、これは少し複雑です。「テセウスが乗ってきたこと」にそれそのものである決定的な要因が依存するので、パーツを全て取り替えると同一性は言えないのではないかなと思います。


結果として、テセウスの舟に関して、パーツを全て取り替えてしまうとそれはもはやテセウスの舟とは呼べない、というのが私の結論です。


しかしながら、これだけでは終えられないのがテセウスの舟の難しいところです。この思考実験は数々の問題点や次の思考実験への布石を残しました。

問題1:一意性の問題
もしもテセウスの舟から抜いたパーツでもうひとつ舟を作ったら、どちらがテセウスの舟か。あるいは、テセウスの舟が2つあると言えるのか。

問題2:連続性の問題
分割可能な存在的コアの取り出しがパーツごとではなく連続的な変化のとき、最後の最後、1分子(この言い方をすると離散的な変化みたいだが、察してほしい)さえ残っていれば同一性が言えるのか。

問題3:中間性の問題
分割可能な存在的コアの場合、本当に最後まで同一性が言えるのか。中間的に同一性が失われる場合は無いか。(問題2の延長ともとれる)

問題4:1−B問題
パターン1−Bで、本当に同一性が定められるのか。


これらの問題に関して、問題4の解決の手がかりは「時期・時間」や「作者」「場所」などが「形の無いコア」となっていると解釈することでは無いかと考えられます。

メモには無いですがもう一つの問題として

問題5:
なぜパーツを全て取り替えたテセウスの舟を「同一である」と主張したものが居たのか。

というものも提案しておきます。
これは「なぜ同一性が言えるのか」というロジカルな思考と「なぜ同一だと捉えられたのか」というヒューリスティックな思考が混在する、難しい問題だと思います。
| 同一性 | 09:50 | comments(0) | - | - |
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